2010年 04月 13日
introduction |
<こどもと読む宮澤賢治・大人になって読む宮澤賢治>
宮澤賢治の世界の好きな人は、
多分小さい頃から
その本が傍らにあったのかもしれない。
少し成長し、こどもから大人になりかけて、
感性ばかりが研ぎすまされて、
毎日どうしていいのかわからなかった時も、
それからずっと大人になった 今になっても、
その本は、
かつてのようにひっそりと 傍らに置かれているのだろう。
ときどき思い出したように手にとり、
好きだった詩や童話を また読み返してみたりする。
小さい頃の感動が蘇ったり、
また、その時々で賢治の違った顔を見たり、
かつては読み込めなかった部分に強く惹かれたりする。
そんな風にずっとずっと賢治とつながっている人ではないかと思う。
少なくとも私はそうだった。
歳を重ね、今になって理解できることも多くなった。
もう一度、自分自身の最後の仕事として、
賢治を丁寧に読んでみたい、と思った。
そしてきっと、ずっとこころのなかにあたためていたことが、
機が熟したというのだろう、思わず外へ現われた。
3月から、宮澤賢治の読書会と朗読会を始めることとなった。
Introductionは迷わず「雁の童子」だった。
多くの作品の中から、
何故この一冊を、と思われた人は多かったと思う。
有名な「銀河鉄道の夜」でもなければ、
面白い「注文の多い料理店」でもない。
おそらく、賢治の作品の中では、特に仏教色が強く、
難解なところが多く、きわだったところもなく、
むしろあまり一般的ではない、という作品かもしれない。
それでも、私はどうしてもこの物語から始めたかった。
ふりかえれば、今回の開講にあたっての毎日の作業は、
「雁の童子」を、思わず選んでしまった私自身の
何かに気づいた日々の連続だった。
難しいとされる賢治の童話を、
いまの子どもたちに、どんなふうに伝えられるのだろう。
たくさんの動物や鳥や樹木や鉱物や天体といった自然や科学、
きれいな光の乱反射や風の音、
豊かで独特な言葉とそのリズム、
そして素晴しい仏の教えが、気づかずともこころに宿ってしまうように、
賢治の作品たちは、実に巧みに私たちに語りかける。
皆、それらの賢治を少しずつ理解しながら、
自分のなかでそれぞれの世界を感じているのだろう。
それらを、出会った人たちとわけあって、
また今までとは違った賢治の世界に遊べたら、
こんな楽しい事はない。
そんなことを考えながら、この会は始まった。
(さいさいみこ)
宮澤賢治の世界の好きな人は、
多分小さい頃から
その本が傍らにあったのかもしれない。
少し成長し、こどもから大人になりかけて、
感性ばかりが研ぎすまされて、
毎日どうしていいのかわからなかった時も、
それからずっと大人になった 今になっても、
その本は、
かつてのようにひっそりと 傍らに置かれているのだろう。
ときどき思い出したように手にとり、
好きだった詩や童話を また読み返してみたりする。
小さい頃の感動が蘇ったり、
また、その時々で賢治の違った顔を見たり、
かつては読み込めなかった部分に強く惹かれたりする。
そんな風にずっとずっと賢治とつながっている人ではないかと思う。
少なくとも私はそうだった。
歳を重ね、今になって理解できることも多くなった。
もう一度、自分自身の最後の仕事として、
賢治を丁寧に読んでみたい、と思った。
そしてきっと、ずっとこころのなかにあたためていたことが、
機が熟したというのだろう、思わず外へ現われた。
3月から、宮澤賢治の読書会と朗読会を始めることとなった。
Introductionは迷わず「雁の童子」だった。
多くの作品の中から、
何故この一冊を、と思われた人は多かったと思う。
有名な「銀河鉄道の夜」でもなければ、
面白い「注文の多い料理店」でもない。
おそらく、賢治の作品の中では、特に仏教色が強く、
難解なところが多く、きわだったところもなく、
むしろあまり一般的ではない、という作品かもしれない。
それでも、私はどうしてもこの物語から始めたかった。
ふりかえれば、今回の開講にあたっての毎日の作業は、
「雁の童子」を、思わず選んでしまった私自身の
何かに気づいた日々の連続だった。
難しいとされる賢治の童話を、
いまの子どもたちに、どんなふうに伝えられるのだろう。
たくさんの動物や鳥や樹木や鉱物や天体といった自然や科学、
きれいな光の乱反射や風の音、
豊かで独特な言葉とそのリズム、
そして素晴しい仏の教えが、気づかずともこころに宿ってしまうように、
賢治の作品たちは、実に巧みに私たちに語りかける。
皆、それらの賢治を少しずつ理解しながら、
自分のなかでそれぞれの世界を感じているのだろう。
それらを、出会った人たちとわけあって、
また今までとは違った賢治の世界に遊べたら、
こんな楽しい事はない。
そんなことを考えながら、この会は始まった。
(さいさいみこ)
by tenkidou
| 2010-04-13 18:07
| ほらくま通信